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Vol.6  ⾼城友貴さん(びんのおのや)/前編|読みもの|それいけイチトニ編集室

Vol.6  ⾼城友貴さん(びんのおのや)/前編

2022.07.09

一歩目二歩目

読みもの

『1歩目、2歩目の足跡』

 

さまざまな分野で活躍している大人たち。きっと一直線にまっすぐに、歩いて来た人ばかりではないはず。どうしてこの道に足を踏み入れたのか。どんな道のりを歩いて来たのか。これまでどんなきっかけや、出会いがあったのか。ふだんは中々聞けない、そんな「1歩目」「2歩目」のお話を聞いてみる企画です。

 

 

 

 

Vol.6  ⾼城友貴さん(びんのおのや)/前編

 

高城さんは、宮城県仙台市にて「びんのおのや」として、ジャムやはちみつの製造販売を行なっています。高城さんのこれまでのこと、「びんのおのや」をスタートするまでのことをお聞きしたら、意外なストーリーが飛び出してきました。そんな高城さんの「1歩目」「2歩目」について、前編ではご実家の家業のこと、家族のこと、学生時代のことについてお話しいただきました。

 

 

500年の歴史を誇る「おのや」に生まれ

 

―高城さんは「びんのおのや」としてジャムやはちみつの製造販売をされていますが、その前はどんなことをされていたのですか。

 

ずっと実家の家業を手伝っていました。私の実家は、仙山線の山寺駅前にあった「おのや」というペンション。自宅兼ペンションだったので、ずっと家の中にお客さんがいるような環境で過ごしてきました。

 

―あの観光地の山寺駅前に!

 

仙山線が開通する時、曽祖父が自分で道を切り開いて土地を提供したらしくって。そのおかげで、山寺駅前のあの場所にお店を開くことができたそうです。

 

 

 

 

―歴史あるペンションなのでしょうか。

 

現在のおのやの建物は昭和52年に建てられたものなのですが、そのまたずっと昔は「東泉坊」という宿坊(お寺で修行する僧侶や参拝者向けの宿)で、歴史を辿ると1500年くらいからずっと続いているそうなんです。500年以上も続いている歴史ある宿だから、大切に受け継いでいきなさいよと言われながら育ちました。

 

―500年以上も前から続いているなんて…驚きました。

 

8年ほど前に、ペンションとしてのおのやは、営業を終了してしまったんですけれどね。スタッフも、もう何十年も勤めてくれている方なので高齢だったんです。だから思い切ってペンションは閉めて、建物を居抜きで貸すことにしました。そうして今は「焔藏」さんっていう蕎麦屋が入ってくれて、ありがたいことに建物や内装も全てそのまま使ってくださっているんです。そして建物の裏側では、「暮らしの古道具 おのや」として母が古道具屋を営んでいます。ペンションで使っていた食器や道具を、捨てるよりは売りたいなと思ったことがきっかけで始めたのですが、母は今の暮らしがとても楽しいようで、毎日ルンルンしながら過ごしています。それが私もとても嬉しくて。良かったなあと思っています。

 

 

 

 

スキー漬けの学生時代

 

―高城さんご自身は、どんな学生時代を送られていましたか。

 

高校も大学もスキーで進学をしたので、それはもうスキー漬けの日々でした。私の祖父が面白山でスキー場の代表をしていて、さらに父はスキーの指導者だったんです。私自身スキーが好きだったかというと、当時はやらされているって感じてしまうこともあったけれど…(笑)。振り返ってみるととても良い学生時代でしたね。日本で一番スキーの強い東京の大学に入学することもできて、なんとか付いていけるように必死で頑張っていましたし、当時の同級生や先輩なんかとはいまだに交流があったりして。そんな経験や仲間は私の財産ですね。でも、せっかく実家から東京に出たのにスキーばっかりやっていたから、今思えばもっと色んなことをやってみれば良かったと思う時もあります(笑)。

 

―きっとスキーをするのには素晴らしい環境だったのではないかと思いますが、大学卒業後、スキーを仕事にすることは考えたりされたのでしょうか。

 

スキーの指導者になることを考えてはみましたが、指導っていうのが私はとにかく苦手で。私にはできないと考えて、卒業と同時にスキーは辞めてしまいました。本当は東京に残ってカフェなんかで働けたらと思っていたのですが、実家おのやの手伝いに呼ばれて、それからは実家の手伝いに徹することになりました。

 

―そうだったんですね。話が少し戻るのですが、お祖父さんはスキー場の代表までされていたのですか!

 

祖父は、色んなことをやっていた人で。スキー場の他にも、山寺駅の土地を譲ったことがきっかけで、駅でお弁当の立ち売りを始めたり。東京に行った時に持っていた良いカメラを売って、そのお金でアイスクリームの機械を買って来てアイスクリーム屋を始めたり。あとは、山寺にあった「芭蕉園」ってご存知ですか?

 

―うーん、聞いたことがないです。

 

芭蕉園というのは、山寺にあった遊園地なんです。祖父は芭蕉園の代表もしていて、そこも毎日遊びに行くような場所でした。残念ながら、今はもうなくなってしまったんですけれどね。スキー場もアイスクリーム屋も、そして遊園地も、昭和のあの時代によく思いついて実行に移したなぁと、祖父の素晴らしい発想力と行動力には感動しています。そう簡単にできることではないですよね。

 

 

 

 

家族とともに、再び「おのや」で

 

―大学を卒業されてからは、ずっとご実家のお仕事をされていたのですか。

 

そうですね。娘が小学校に上がって仙台へ引っ越すまでは、ずっとおのやの手伝いを続けていました。結婚を機に一度仙台へ出てきたこともあるのですが、仙台から山形へ通いながら続けていて。そうして娘が生まれた頃にみんなで山寺に移り、やがて夫も一緒におのやを手伝ってくれるようになったんです。夫は幼馴染だったのでおのやの事情をよく理解してくれていて、大変な時期に助けてくれました。

 

―きっと、おのやさんにとって、高城さんは居なくてはならない存在だったのですね。そして、「びんのおのや」を?

 

仙台に戻ってからは、一度パン屋で働き始めました。私、パンが大好きなんです。だから本当はパンを焼く方をやってみたかったけれど、まだ娘が小さくて勤務時間が合わず、販売をやっていました。そんな中、父が体調を崩したと聞き、また山寺に通い始めることになって。その後おのやの建物を、現在使ってくれている焔藏さんに引き継いでもらうことになったんです。実はおのや一家と焔藏さん一家は、昔から代々知り合いだったこともあり、おのやの歴史や建物を大切に受け継いでくれています。本当に感謝ですね。そして私自身これから何をしようかと考え、「びんのおのや」をスタートすることになります。

 

 

 

 

歴史ある「おのや」に生まれ、「おのや」とともに歩んできた高城さん。いよいよ「びんのおのや」として、高城さんご自身が新たなスタートを切る時がやって来ます。ジャムづくりを始めようと思ったきっかけや、「びんのおのや」の商品について、後編でじっくりとお聞きします。(後編につづく)

 

高城 友貴(びんのおのや)

1973年山形市生まれ。スキーをする環境で育ち小学5年生からアルペンスキーを始め、当時日本一の強豪校である専修大学スキー部に入学し選手生活を送る。引退後は家業の有限会社おのやに就き、ペンション・レストラン・カフェの接客や企画を務める。2016年びんのおのやを立ち上げ、はちみつやジャムの製造販売を始める。病気を経験したことから自然や食の大切さを、びんのおのやの商品を通して届けたいという想いで製造をしている。

 

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記事を書いた人

伊藤 優果

SURUCCHAスタッフ・ライター

宮城県仙台市生まれ。大学生の頃にウェブマガジンの取材記事を執筆し、ことばを形にして人へ伝える喜びを知る。卒業後は地元の印刷会社に就職し、営業職を経験。紙や印刷技術が持つ無限の可能性に魅せられ、印刷はひとつの表現方法であると考えるようになる。現在はブライトにて、シルクスクリーン印刷所「SURUCCHA」のスタッフや、ライターとして勤務。心がけていることは「一刷入魂」。

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