歌のかたち
CDやレコード、カセットテープ。歌はいろんな「かたち」で聴き手の元にやってきます。歌だけでなく、ジャケットや歌詞カードのデザイン、素材、手触りにも目を向けてみると、つくり手のこだわりがもっと感じ取れるものです。インターネットでも手軽に歌を聴くことができるこの時代、それでも実物を手にしてよかったと感じる歌の「かたち」について目を向けてみるコラムです。
第9回 浮『あかるいくらい』
このコラムでは2回目の登場となるミュージシャン、浮(ぶい)。なるだけ色々なミュージシャンのCDを紹介したいとは思っているけれど、昨年11月に発売されたアルバム『あかるいくらい』があまりにも素敵だったので、また取り上げたいと思う。
早速、何が素敵なのかと言えば、CDでありながらも一冊の本のように仕立てられているところ。その中には、歌詞がていねいに綴られているほか、作品に寄り添った写真や文章、日記などがおさめられている。
中でも、歌詞のことばは詩集のようで、CDを聴きながらそれを読んでみると、流れる音楽とともに一つひとつのことばがしっかりと伝わってくる。まるで私の目の前で歌ってもらっているような、お話してもらっているような。こちらとしても、しっかりと受け止めたいという気持ちになるし、いろんなことを想像しながら聴くことがとても楽しい。近頃は歌詞を見ながら曲を聴く機会がめっきり少なくなっていたけれど、何かをしながらではなく、ゆっくりと歌と向き合う時間の豊かさを教えてもらったことに心から感謝したい。
▷『あかるいくらい』収録曲の視聴はこちら
浮(ぶい)
米山ミサによるソロユニット。2018年頃から「浮」としてギターの弾き語り、作詞曲を始める。2019年、FABIENNEより1stAlbum”三度見る”をリリース。2020年、白と枝、松井亜衣とユニット”ゆうれい”を結成。2021年、藤巻鉄郎(ds)、服部将典(cb)とトリオ”浮と港”の活動を開始。2022年11月1日、Sweet Dreams Pressより2nd Album”あかるいくらい”リリース。(浮 HPより)
▷HP
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