Vol.6  ⾼城友貴さん(びんのおのや)/後編

2022.07.22

一歩目二歩目

読みもの

『1歩目、2歩目の足跡』

 

さまざまな分野で活躍している大人たち。きっと一直線にまっすぐに、歩いて来た人ばかりではないはず。どうしてこの道に足を踏み入れたのか。どんな道のりを歩いて来たのか。これまでどんなきっかけや、出会いがあったのか。ふだんは中々聞けない、そんな「1歩目」「2歩目」のお話を聞いてみる企画です。

 

 

 

 

Vol.6  ⾼城友貴さん(びんのおのや)/後編

 

高城さんは、宮城県仙台市にて「びんのおのや」として、ジャムやはちみつの製造販売を行なっています。高城さんのこれまでのこと、「びんのおのや」をスタートするまでのことをお聞きしたら、意外なストーリーが飛び出してきました。そんな高城さんの「1歩目」「2歩目」について、後編では、ジャムづくりを始めたきっかけや、商品のこだわりや想いについてお話しいただきました。

 

 

パンが好きだからこそ、「パンのお友」を

 

―「びんのおのや」ではジャムやはちみつの製造販売をされていますが、そもそも、どうしてジャムをつくろうと思ったのですか。

 

仙台に引っ越して来てすぐの頃は賃貸物件に住んでいたのですが、そろそろ住む家を探そうかということになり、リノベーションした古いマンションに引っ越しました。その時は、この先何をしようか全く考えていなかったのですが、これから何か事業を始める時に、工房として使えるようキッチンを2つ作っていたんです。そうして住み始めてしばらくした頃に、夫から「そろそろ何かやってみたら?」と言われて、私自身も色々と考え始めました。

 

 

 

 

それで最初に作ってみたのが、ジャーサラダ。当時はまだ流行る前で、世の中にもあまりなかったので良いんじゃないかと。けれど、実際に作ってみたら売れ残りが出るし、原価が結構高いんです。これはやめようと思い、他に出来そうなことはないかなと探していた時に、ジャムを思い付きました。ペンションの朝食では毎朝手づくりのジャムを提供していたので、ジャムならできるかなと。そうしてスタートしたのが「びんのおのや」です。

 

―HPでは、ジャムやはちみつのことを「パンのお友」と書いてありますね。まさにパンがお好きだからこそ、始めることができたんですね。

 

一度実際にパン屋で働いてみて、自分でパンを作るのって本当に大変だと分かったんです。けれどパンに付けるものなら自分の工房でもできるので、始めて良かったですね。

 

 

一人で、すべて手づくり

 

―「びんのおのや」の商品のこだわりなど、教えていただけますか。

 

すべての商品を丁寧に手づくりしていることですね。製造から梱包、発送まで一人で、心を込めて行なっています。あとは、使用している果実やはちみつ、バターなどの素材は、山形や宮城のものを多く使用しています。特にはちみつは、農薬が使用されている田んぼや畑から2〜3km以上離れたところで、丁寧に絞っていらっしゃる方のものを仕入れたりしていて。そのはちみつを作られている方は大工さんで、山の木を切ったり、きのこを栽培したりして、山を知り尽くしている方なのでとても信頼できるんです。

 

―高城さんの商品を拝見していて気になったのですが、販売されているはちみつは、藤の花、あかしあ、百花蜜など、さまざまな種類がありますよね。どうしてこんなにさまざまな種類のはちみつが採れるのでしょうか。

 

はちみつを集めるミツバチって、「ニホンミツバチ」と「セイヨウミツバチ」の2種類がいるんです。ニホンミツバチの習性は、巣箱からそれぞれのミツバチが色んな花に飛んでいって、蜜を取ってくる。それに対してセイヨウミツバチは、巣の中で役割分担が決まっていて、担当のミツバチが蜜源を探して来る。みんなここに来いって呼びかけて、みんなで同じ花の蜜を吸うの。だから、藤の花が咲いている近くに巣箱を置けばみんな藤の花の蜜を吸って、アカシアの花の近くに巣箱を置くとみんなアカシアの花の蜜を吸う。だから花の種類別に蜜を採ることができるんです。

 

―そんな風にはちみつが採られているなんて、今まで知りませんでした。花の種類ごとのはちみつを食べ比べて、自分の好きな種類を探すのも楽しそうですね。

 

 

 

 

目に美しく身体もうれしい「バラとはちみつ」

 

―はちみつといえば、「バラとはちみつ」という商品がありますよね。はちみつの瓶にバラの花びらがたっぷり入っていて、目にも美しい商品だと感じていました。

 

はちみつだけでも栄養価が高いのですが、バラは、ポリフェノールの中でも特に抗酸化作用が高いローズポリフェノールという成分や、ビタミン、食物繊維などが含まれている上に、リラックス効果のある香り。美容や健康により気遣いたい方に食べてもらえたらうれしい商品です。

 

 

 

 

―どうしてはちみつにバラを入れようと思ったのですか。

 

きっかけは、母が道の駅の産直で買って来てくれたローズティーを飲んだことでした。ローズティーって言うと、普通は紅茶の茶葉にバラの香料が入っていて、ちょっぴり花びらが入っているぐらい。でもこれはバラの花びらがたくさん入っていて、とても感動したんですよね。試しにティーバッグからバラの花びらを取り出して、はちみつに入れてみたらすごく良くって。そのローズティーを作られていた山形の坂元ローズガーデンさんに、こんなバラ入りのはちみつを作りたいので、バラの花びらを譲ってもらえますか?とお願いをしに行きました。

 

―食用のバラがあるんですね。

 

安心して食べられるように完全無農薬、そして有機肥料で栽培されているそうです。そんな貴重なバラを譲ってもらえることになり、そのおかげで「バラとはちみつ」を商品化することができました。

 

 

自然とミツバチに感謝して、元気を届けたい

 

―「びんのおのや」のジャムやはちみつは、どんな方に食べてもらいたいですか。

 

免疫力を上げてくれるはちみつは、今の時代を生きる人みんなに食べてもらいたいですね。私が仕入れている養蜂場の方は、奥様が体調を崩された時にはちみつを食べて元気になったことをきっかけに、はちみつを作り始めたそうなんです。やっぱり、古来からずっと存在するはちみつは、すごい力を持っているんですよね。それと「バラとはちみつ」は、やっぱり女性の方におすすめしたいです。

 

ちなみに、一匹のミツバチが一生で集められる蜜は、たったのティースプーン1杯分ほどなんだそうです。初めは巣の中のお掃除係から始まって、赤ちゃんのお世話係、門番係などを経て、一生の最後に巣の外に出て蜜を集める。そんな貴重なはちみつに感謝しながら、お客さんに届けたいと思っています。

 

―ミツバチが最後の仕事で集めたはちみつ、大切にいただきたいです。最後に、高城さんご自身の今後の目標などありましたら聞かせてください。

 

びんのおのやのジャムやはちみつを食べた人が、幸せな気持ちになって、元気に健やかに過ごしてくれるように、これからも商品をつくっていきたいと思っています。

 

それから、これまでは実家のおのやの仕事に没頭して一生懸命取り組んで来たので、私自身が本当に好きなことや、やりたいことって何だろう?と考える機会が中々取れなかったんです。だからこれからは、ジャムやはちみつづくりに限らず、自分がやりたいと思うことにどんどん挑戦していきたいですね。

 

 

高城 友貴(びんのおのや)

1973年山形市生まれ。スキーをする環境で育ち小学5年生からアルペンスキーを始め、当時日本一の強豪校である専修大学スキー部に入学し選手生活を送る。引退後は家業の有限会社おのやに就き、ペンション・レストラン・カフェの接客や企画を務める。2016年びんのおのやを立ち上げ、はちみつやジャムの製造販売を始める。病気を経験したことから自然や食の大切さを、びんのおのやの商品を通して届けたいという想いで製造をしている。

 

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記事を書いた人

伊藤 優果

SURUCCHAスタッフ・ライター

宮城県仙台市生まれ。大学生の頃にウェブマガジンの取材記事を執筆し、ことばを形にして人へ伝える喜びを知る。卒業後は地元の印刷会社に就職し、営業職を経験。紙や印刷技術が持つ無限の可能性に魅せられ、印刷はひとつの表現方法であると考えるようになる。現在はブライトにて、シルクスクリーン印刷所「SURUCCHA」のスタッフや、ライターとして勤務。心がけていることは「一刷入魂」。

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