歌のかたち
CDやレコード、カセットテープ。歌はいろんな「かたち」で聴き手の元にやってきます。歌だけでなく、ジャケットや歌詞カードのデザイン、素材、手触りにも目を向けてみると、つくり手のこだわりがもっと感じ取れるものです。インターネットでも手軽に歌を聴くことができるこの時代、それでも実物を手にしてよかったと感じる歌の「かたち」について目を向けてみるコラムです。
第2回 浮『つきひ』

ある秋の日、郵便受けに届いたのは東京在住のミュージシャン「浮(ぶい)」の『つきひ』という楽曲のダウンロードコードが付いたポストカード。銀がかったような青とベージュのグラデーションが刷り込まれていて、その淡くゆるやかな色の変化は夜明けのようにも見えるし、日暮れのようにも見える。表面には歌詞が同じグラデーションカラーで、カードの縁に沿うように小さく刷られている。歌を聴きながらそれを眺めてみると、活版印刷でぎゅっと押され少し重みを持ったことばたちが、ゆったりと川を流れている景色が想像できた。思わずため息が出る。手仕事で1枚ずつ印刷されたカードに、浮本人手書きの宛名と切手。郵便で送られたものの、まるで直接受け取ったようで、一際嬉しい気持ちになったのだった。

▷『つきひ』の視聴はこちら
浮(ぶい)
米山ミサのソロプロジェクト。何百通りの風に吹かれながらギターを弾き、うたう。
▷HP
関連の記事0 0
編集室おすすめ8 8
イチトニ編集室とは
イチトニ編集室は、様々なヒト・モノ・コトにまつわる「一歩目二歩目」をテーマにしてご紹介していくWEBメディアです。1TO2 BLDGのスタッフが編集者となり、個人や事業者の昔から現在、新しく生まれたモノや古くから続くモノなど、私たちの目線で見て、面白いな、知ってもらいたいな、と思ったことを記事にしていきます。
お知らせ0 1
人気の記事
人気のキーワード