第2回 浮『つきひ』

2021.11.05

歌のかたち

読みもの

歌のかたち

 

CDやレコード、カセットテープ。歌はいろんな「かたち」で聴き手の元にやってきます。歌だけでなく、ジャケットや歌詞カードのデザイン、素材、手触りにも目を向けてみると、つくり手のこだわりがもっと感じ取れるものです。インターネットでも手軽に歌を聴くことができるこの時代、それでも実物を手にしてよかったと感じる歌の「かたち」について目を向けてみるコラムです。

 

 

第2回 浮『つきひ』

 

 

 

 

ある秋の日、郵便受けに届いたのは東京在住のミュージシャン「浮(ぶい)」の『つきひ』という楽曲のダウンロードコードが付いたポストカード。銀がかったような青とベージュのグラデーションが刷り込まれていて、その淡くゆるやかな色の変化は夜明けのようにも見えるし、日暮れのようにも見える。表面には歌詞が同じグラデーションカラーで、カードの縁に沿うように小さく刷られている。歌を聴きながらそれを眺めてみると、活版印刷でぎゅっと押され少し重みを持ったことばたちが、ゆったりと川を流れている景色が想像できた。思わずため息が出る。手仕事で1枚ずつ印刷されたカードに、浮本人手書きの宛名と切手。郵便で送られたものの、まるで直接受け取ったようで、一際嬉しい気持ちになったのだった。

 

 

 

 


 

 

浮(ぶい)

米山ミサのソロプロジェクト。何百通りの風に吹かれながらギターを弾き、うたう。

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記事を書いた人

伊藤 優果

SURUCCHAスタッフ・ライター

宮城県仙台市生まれ。大学生の頃にウェブマガジンの取材記事を執筆し、ことばを形にして人へ伝える喜びを知る。卒業後は地元の印刷会社に就職し、営業職を経験。紙や印刷技術が持つ無限の可能性に魅せられ、印刷はひとつの表現方法であると考えるようになる。現在はブライトにて、シルクスクリーン印刷所「SURUCCHA」のスタッフや、ライターとして勤務。心がけていることは「一刷入魂」。

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